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​城戸光政

グラード財団の前総帥で城戸沙織の祖父(血縁関係は無いが)にあたる。

 

ギリシャの旅行中に降誕したばかりのアテナを守って聖域から逃れてきたアイオロスと出会い、アテナと射手座の聖衣を託された。

​アイオロスとの出会いがすべての始まり

​13年前の光政とアイオロスの出会いが全ての始まりである。

時間は夜、場所はアテネの廃墟、余命幾ばくも無い身でありながら手ぶらで1人というツッコミどころはあるが、ともかくこれがすべての始まりであり、アイオロスと共に物語の起点を司るキャラクターである。

 

「英雄色を好む」を地で行くがごとく100人近い子をもうけ、さらには格闘技にも多大な関心を持っていたという。

本人は「余命幾ばくも無い」と自身の死期を悟っていたようだが、中々にパワフルかつ精力的な老人である。

 

アイオロスと出会ったことによって聖闘士の存在を知る。

アテナを託された形となった光政は彼女を守る戦士を育成するため、自分の子らを孤児として施設に入れた。

これは俗世間からの情を断ち切るためらしい。

これに対して光政は激しい葛藤を感じたが、大義のためにあえて悪魔の汚名を着る事となった。

 

赤子であったアテナは光政の孫娘・城戸沙織として大事に育てられた。

もしかしたら沙織と名付けたのも光政なのかもしれない。

当の沙織は5年前の光政危篤の折りに全ての真実を知らされることになる。

まだ幼い少女には驚愕の事実だったろうが、少なくとも沙織は光政の人柄を敬愛し、その苦悩にも共感を示している。

 

事情も事情ゆえに実の子達からは激しく嫌われていたが(一輝に至っては憎悪の塊となる決定打になった)、氷河の母ナターシャは光政のことを「正義と平和を愛する立派な方」と述べているので女性からのウケは良いのかもしれない。

金にモノを言わせるのではなく裸一貫の男の魅力で数々の女性と関係を持ったのだろうか。

だとしたら見上げた漢である。

 

なお幼少期の氷河は光政と対面しているが、父親らしい態度は一切見せなかった。

光政にすれば、大義のためとはいえ我が子を生贄に捧げるような選択をしたため、中途半端な肉親の情は示せなかったのかもしれない。

 

アイオロスから託された射手座の聖衣には西洋風のアインティークを模した細工を施し、聖域の目を長年にわたって欺いた。

銀河戦争の優勝景品として衆目を浴びた後にもミスティたちの目には偽物と映ったらしいので、それなりの効果はあったようだ。

さらに「自分が死んだ後に真の聖闘士に成長した者に託してほしい」というアイオロスの遺志は、光政の子である星矢が次代の射手座の継承者となることによって叶った。

​百人の我が子を生贄に捧げた光政の苦悩

光政の100人の子は聖闘士となる使命と共にそれぞれが世界各地の修行の場へ送られた。

だが聖闘士は星座の数と同じ88人であり、作中のその時点では反逆者に仕立てられたアイオロスと、表面上は謎の失踪を遂げたサガを除き10人が黄金聖闘士としてすでに在る。

白銀聖闘士も星矢の師の魔鈴、カシオスの師シャイナ、瞬の師ダイダロス、そしておそらくすでに琴座の聖闘士になっていたであろうオルフェなど、「先客」が多数いる状態である。

 

ハッキリ言って100人のうち少なくとも四分の一は捨て石同然である。

仮に青銅聖闘士48星座(コススぺ設定)がすべて空白だったとしても、聖闘士になれない子の数はまだ多い。

もしかしたら同じ光政の子どうしが同じ修行地で聖衣を争うライバルになった可能性もある。

聖闘士となって日本に帰還した10人以外はことごとく行方不明になったと作中で述べられている。

その生死までは言及されていないが存命である可能性は低いだろう。

 

獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすというが、光政のケースはその比ではない。

谷から這い上がれずに息絶える子の数が圧倒的に多いのだ。

元々死期が近かった光政だが、これが心労となって寿命を早めた可能性も否定できない。

 

光政は世界的に有名な財団のトップであり、その社会的地位による重責も他者よりはるかに大きいだろう。

それに加えて陰ではアテナを保護し続け、次代の聖闘士を育成しなければならないのだ。

そのプレッシャーは常人の両肩に課すにはあまりにも巨大すぎる。

 

使命感と罪悪感を長年胸に抱え続けたであろう光政の最期はどのようなものであったのか。

彼が病床の折には、そばに寄り添う沙織と傍らに控える辰巳が涙を浮かべていた。

少なくともこの2人は光政の苦悩を理解していたはずだ。

 

特に沙織は大事に守り育てねばならない女神であると当時に、光政にとっては血は繋がっていないとはいえ可愛い孫娘である。

その孫娘の涙は苦悩の晩年を送る光政の心に響いただろう。

 

全ての発端となった聖域の邪悪と孫娘沙織の戦いの行く末を見ることなく光政は逝った。

成長した沙織はアテナの化身として地上の平和のために戦う覚悟を決め、彼女を守る聖闘士となった光政の子らも後の聖戦で立派に戦い抜いた。

光政の悲願は彼の死後に見事に果たされたのだ。

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