
美穂ちゃん
星矢とは幼馴染の13歳の少女。
天涯孤独の身であり、星の子学園という孤児院で育った。
現在もそこで働いている。
おさげ黒髪で、自身が育った孤児院では年端もいかぬ大勢の子供たちの面倒を見ている。
本人も子供の世話が好きらしい。
ちなみに星の子学園は孤児院だがその外観は教会そのものである。
「神父様にお願いして働かせてもらっている」という美穂のセリフもあるので、神父は学園長も兼任していると思われる。
幼馴染の星矢と美穂
星の子学園には幼少期の星矢も在籍していた。
冥王編で星矢がルネのリーインカーネーションを食らったシーンでは、幼いころに星矢に泣かされた美穂の姿が確認できる。
子供の頃の星矢は魚釣りや昆虫採集を楽しんだり、友達を喧嘩で負かすなどごく普通のヤンチャな男の子である。
むろん美穂も普通の女の子なので、両者の関係は年齢相応の子供のそれと大差ないのが分かるだろう。
時には一緒に遊んだり、時には喧嘩するような間柄だったと思われる。
ちなみに星矢の事はちゃん付けで呼んでいる。
星矢の姉である星華も星の子学園に在籍していた。
むろん美穂とも面識があるのは当然である。
もっとも、美穂自身が星華に対して言及するシーンはほとんど無い。
星矢にとって星華は実の姉であるとともに母親代わりとも呼べる存在だが、美穂にとっても星華は頼れる年上のお姉さん的存在だったのかもしれない。
だが星矢はグラード財団に引き取られ、星華もギリシャに送られた星矢の後を追って失踪した。
幼い美穂にとってそれはどういう心境だったろうか。
金持ちの家に引き取られた星矢を良かったと思えたのか、仲の良かったであろう男友達と離れ離れになる寂しさの方が強かったのか、あるいはその両方か・・・。
聖闘士となった星矢との距離感は?
そして6年後、美穂は聖闘士となった星矢と久しぶりの再会を果たす。
星矢が姉の消息を掴もうと星の子学園を訪れたのだ。
星矢はここで初めて美穂が学園で働いている事を知る。
6年ぶりの再会ではあるが、星矢の面持ちは決して明るいものではなかった。
銀河戦争に出場しなければならない上に、一番の気がかりである星華の行方も何ら手掛かりを掴めなかったからだ。
星矢に姉の手がかりを尋ねられた美穂は何一つ有力な情報を差し出せなかった。
その事に対して美穂は「ごめんなさい」と謝っているが、これは紛れもなく彼女の本心だ。
元々世話好きの美穂である。困っている相手の力になれない事に申し訳なさを感じたのも、言い換えれば美穂の心の優しさそのものだろう。
ましてや美穂は星矢に少なからず好意を寄せている節もある。
同じ孤児どうしの男の子と女の子も今や年頃の少年少女なので、そんな気持ちを抱いても何ら不思議ではない。
だが星矢は聖闘士であるため、普通に学校に通う一般の少年たちとは生活環境が大きく違う。
美穂もまたごく普通の少女であるため、星矢との間にはかつての孤児院時代の間柄とは異なる隔たりもあるのが事実だ。
美穂は星矢が聖闘士であることを知っているし、そのために戦わねばならない命運にあるのも理解している。
星矢もまた美穂を信頼している。ケガの手当てをしてもらったりペガサスの聖衣を預けたりしているのがその証拠だ。
なので二人は今でも仲の良い友人には違いないが、美穂にすれば星矢は近くもあり遠い存在でもあるのだ。
そして結果的に星矢を戦いに駆り立てている形の沙織に対しては良い感情は持っていない。
作中でもハッキリと「沙織お嬢様きらい」と口にしているが、それも星矢を想うがゆえである。
美穂の前で語った星矢の本音
戦いに身を投じる星矢は同世代の少年たちが謳歌する青春を味わえない。
美穂はそれを嘆いている。
紫龍の身を案じる春麗と同様、美穂もまた星矢には戦いに赴いてほしくないのだ。
言いかえれば、星矢と共に笑いあったり語り合ったりしたいという乙女心の表れだろう。
美穂の気持ちに気づいているのかどうか、星矢は作中では明確な態度を見せていない。
だが星矢は答えた。
「宇宙の生命の一つとして心の小宇宙は燃焼している」「誰かが作り上げた流行に乗せられて生きるよりも充実している」と。
そして「如何なる星の下に生まれようと雄々しく生きてやる」と。
1人の人間、1人の男としての星矢の紛れもない本音である。
アテナの聖闘士としての心情が描かれるシーンは多いが、星矢個人の思いを吐露する場面はさほど多くない。
そして、星矢がその本音を語れる相手が美穂であった。
作中での美穂の出番はいつしか減り、そして全く登場しなくなった。
今でも星の子学園で星矢の無事を願っているのだろうが、当の星矢は冥王の剣に胸を貫かれて小宇宙を燃やせぬ廃人同様の姿になり聖域で療養している。
美穂はこの事を知っているのかどうか・・・。
そして知ったところで美穂の力では何もできない。
星矢にとっては聖闘士として地上の平和を守り抜いた結果の負傷だが、美穂にすれば星矢が無事であって初めて喜べるのである。
現在連載中のNDでは、その星矢の命を救うべく熱き血潮の兄弟と沙織が過去の時代に赴いている。
壮大な展開が織り交ぜになっている現状ゆえ、もはや美穂が関われる要素はほぼ皆無なのが非常に残念である。
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