top of page

天英星バルロンのルネ

冥界第一獄の裁きの館でミーノスの代行官として死者を裁く冥闘士。

​静寂さを尊ぶ地獄の裁判官。

異様に広い法廷​で雑音ひとつ許さない

​このルネの個性としてまず最初に挙げられるのが、「法廷で死者を裁く役目」という側面だ。

冥衣の上から法衣を纏った出で立ちなので、見た目だけなら三巨頭よりも偉そうに映る。

アケローン河を渡った死者たちは、ルネが受け持つ第一獄の裁きの館で生前の罪を裁かれ、その罪の重さに応じた地獄に送られる。

作中描写を見る限りでは、法廷でのやり取りは死者との対面問答形式と思われる。

死者が生前の罪を告白し、それをルネが閻魔帳(ファイル)と照らし合わせ、有罪判決が出た死者は地獄へ堕とされるという流れのようだ。

至ってオーソドックスなやり取りだが、全ての死者をルネが一人で裁くのであればかなりの重労働のように思える。

と言うよりあまりにも非効率な気がするが…。

そんな仕事熱心(?)なルネだが、雑音が嫌いという個性も持ち合わせている。

​第一獄の裁きの館は静寂を尊ぶ場所のようだが、マルキーノによればルネは格別雑音が嫌いらしい。

私語は厳禁、靴音やクシャミはもっての外なので、神経質というレベルをはるかに超えている。

加えて、裁きの館は異様に広い造りで、ルネが座す高場と死者が罪を申告する場所の間には大きな階段が設けられており、その距離は少なく見積もっても200メートルは離れている。

これだけ離れていたら大声で叫ばなければ相手の耳に届きそうもないのだが…。

ルネと対面した星矢と瞬が自分の名を述べるシーンがあるが、ルネの返事は「もっと静かな声でしゃべりなさい」だった。

むろん星矢と瞬は至って普通の声量で話しているにもかかわらず、である。

ルネの厳格さと気難しさが見て取れる場面だが、彼のもとで働くマルキーノがルネに対して畏怖の念を抱いているのも納得と言える。

罪を暴いて計る!

必殺技は裁きに因んだものばかり

 

そのルネの戦闘力だが、三巨頭のラダマンティスが一目置いている節もあるので冥闘士の中では高い部類に属するのだろう。

作中で見せたルネの技はいずれも裁きに関連のあるものばかりだ。

まず星矢に放ったリーインカーネーションは人生で犯した罪を浮かび上がらせる効果を持つ。

この技を食らった星矢は幼少期の思い出が次々に浮かんできたのだが、そのほとんどが「虫を殺した」とか「魚を釣った」とか「花瓶を壊した」といった些細な事柄ばかりである。

もちろん、この技による外傷もなければ心理ダメージも特にない。

​強いて言えば、ルネの善悪問答によって星矢が少々返答に詰まったくらいだ。

法廷での職務中なら何かと便利そうだが、敵との戦闘時にどれほどの利便性があるのかは疑問である。

​だが、ルネのメイン武器となるバルロンの鞭はかなり凶悪なシロモノだ。

何しろ相手の体に巻き付き、そしてバラバラに切断するのだ。

ルネの部下であるマルキーノはこの鞭によって五体を輪切りにされた。

鞭使いキャラは青銅聖闘士のジュネがいるが、こちらの鞭の用法は至ってオーソドックスなだけに、ルネのバルロンの鞭の特異さが際立って見える。

この鞭は相手の体に何回巻かれたかで罪の重さを計る。

言い換えれば清廉潔白な者には無効のように思えるが、冥界の掟に則ってルネが下す有罪無罪判決は確実に有罪であるため、この鞭から逃れる術はないという事になる。

ハーデスの肉体に選ばれた瞬、すなわちこの時代で最も清らかな心の持ち主でさえ雁字搦めになる程だ。

​しかも、鉄壁の防御を誇るローリングディフェンスを掻い潜って瞬を拘束しているので、ルネが言うように「裁きの鞭の前にはどんな防御も通用しない」のだろう。

しかし、ルネは瞬との戦闘の最中にカノンの幻朧拳を知らぬ間に食らっていたため、上記のシーンのどこまでが現実でどこまでが幻覚なのかは今一つハッキリしない。

​ルネ本人は「アンドロメダに鞭うつ前にその男(カノン)の拳を受けていた」という認識のようだが、瞬の方は「やられたかと思ったけど気が付いたら無事だった」と述べているので、バルロンの鞭の前にネビュラチェーンの防御は通用しなかったとも受け止められる。

両者の間に認識のラグがあるため実状は不明だが、バルロンの鞭はアナザーディメンションやデモンローズをも防いだネビュラチェーンを物ともしない可能性が少なからずある。

​そう考えると、結構すごい武器と言えるかもしれない。

強すぎる双子座のカノン

​強敵ルネを指一本で粉砕!

 

政務と戦闘の両面に秀でたルネだが、その最期はあまりにもあっけないものだった。

冥界に現れた双子座のカノンによって鞭もろとも粉々に粉砕されたのだ。

しかもギャラクシアンエクスプロージョンの様な大技を食らってのKO負けではなく、指一本による完敗である。

ルネは自分でも気づかぬうちにカノンに幻朧拳を撃ち込まれていた。

 

主君ハーデスの首を刎ね落とす幻覚を見せられ、それまでの威厳はどこへやら、雑音嫌いのはずが大声で喚きたて大いに取り乱す有様であった。

思うに、この時点でルネはすでにカノンの掌の上で転がされていたのだろう。

途中でラダマンティスと出会い、そこでやっと何者かに篭絡されたと気が付くも、本来であればハーデスの座まで我知らずカノンを案内させられる所であった。

​要はカノンにいいように利用されかけたのである。

ルネほどの強キャラでも黄金最強格のひとりであるカノンには手も足も出ない事が描写されたのだ。

カノンが言うには「幻朧拳はたんに幻覚を与えるだけ」らしい。

幻朧魔皇拳をパワーダウンさせた小手先の技といった所だが、それでもルネを手玉に取るには十分だったようだ。

これ以降カノンは冥闘士を相手に無双モードに入るのだが、ルネはその最初の犠牲者となってしまった。

​冥界のひとつのエリアを司る番人であり、作中描写も強キャラのそれに相応しかったルネだが、結局はカノンの強さを引き立たせるためのかませ扱いで終わったのである。

次のキャラへ

​前のキャラへ

bottom of page