
牡牛座のオックス
前聖戦の時代の牡牛座の黄金聖闘士。
聖域十二宮二番目の金牛宮を守る。
一番最初に登場した過去の時代の新黄金キャラ
前聖戦の時代がメインの舞台であるNDにおいて、牡牛座のオックスは新たな黄金聖闘士キャラとして登場した。
前聖戦の生き残りであり初期作にも登場した童虎とシオンを除けば、過去の時代の黄金の中で一番最初に登場した新キャラである。
若気の勇み足から勝手な行動を取った新米黄金の童虎とシオンだが、先輩格としてその二人に灸をすえるシーンがオックスの栄えある初登場場面だ。
これによって、シオンと童虎は黄金とは言えまだまだ経験が浅く、オックスら他の先輩黄金聖闘士たちに比べて未熟である事が仄めかされる。
しかし先輩聖闘士としての威厳と見せるかに思われたオックスだが、グレートホーンは天馬の横槍で未発動におわり、さらにはこのすぐ後に登場した山羊座の以蔵がオックスの代わりに童虎たちに灸をすえたので、結果的にオックスはおいしい見せ場を奪われた形となる。
もっとも以蔵は、「お前(オックス)のパワーでは本当に殺しかねんからな」と口にしているので、オックス自身が形容した「猛れる黄金の角」のセリフは文字通りの威力なのだろう。
オックス(と以蔵)の強さを目の当たりにした童虎は「牡牛座も山羊座も本物の黄金聖闘士はケタちがいだ」と述べており、自身の未熟さを痛感したシオンも「一刻も早く彼らの様な本物の黄金聖闘士にならねば」と口にしているので、彼ら新米二人からすればオックスはとてつもない存在のようだ。
そのオックスの凄まじいパワーは後の水鏡戦で描写されることになる。
圧倒的なパワー! そしてかませの宿命
前作のアルデバランがかませ犬的なキャラにされたためか、作品内での牡牛座の扱いはあまり良いとは言えない。
大半の読者の印象は「牡牛座イコールかませキャラ」である。
そして不憫な事に、オックスもかませキャラの宿命を背負う事となる。
オックスの見せ場は水鏡戦である。
金牛宮に現れた雑魚冥闘士たちをあっさり粉砕し、次いで登場したガルーダの水鏡との対峙シーンでもオックスにはどこか余裕を窺わせる感さえある。
事実、この戦いでオックスは規格外とも言えるパワーを見せつけた。
石段に腰を下ろし、腕組みをしたままの体勢から繰り出された拳で水鏡の冥衣は翼部が半壊し、水鏡自身も血反吐を穿くほどのダメージを負った。
拳の余韻か、辺りには地響きが轟いて鳴りやまない。
必殺技でもないただの一撃でこの威力である。
アルデバランも星矢相手に黄金の圧倒的なパワーを見せつけたが、描写だけならオックスの方がはるかに規格外だ。
しかし残念なことに、オックスの攻勢はこのシーンのみである。
作中でのオックスの役割は、冥闘士となった水鏡の強さを描くための対戦相手だからだ。
水鏡が得意とするのは水気の拳である事、そして必殺技の氷槍白蓮華の凄まじさ。
つまり、オックスは水鏡の強さを強調するためのやられ役を担う必要があるのだ。
オックスの守護する宮は2番目の金牛宮なので序盤での退場は予定調和なのだが、だからこそ新黄金キャラとして早々に登場を果たしたのかもしれない。
いきなり登場いきなり敗死では味気ないので、作者としては少しでもオックスの印象を残したかったのだろうか。
ともかく、オックスは水鏡に敗れて作中序盤で戦死した。
(厳密には水鏡の手心による仮死状態)
その死にざまが前作のニオベ戦で見せたアルデバランの立ち往生と同じなので、「やはり牡牛座は続編でもかませ」という風潮が色濃くなった感がある。
必殺のグレートホーンも水鏡の水気の前に不発に終わったのが痛い。
フォローのつもりなのか、オックスの舐めプに対して水鏡は「はじめから全力でやるべきだったのだ」と述べている。
なので、もしも初っ端から手加減抜きでグレートホーンをぶっ放していれば水鏡を倒せた可能性はある。
しかし水鏡には白蓮華の上をいく氷槍百牙旋嵐という究極奥義があるので、仮にオックスが本気モードで戦っていたとしても結果は変わらなかったかもしれない。
アルデバランとのキャラの違いは?
基本的にNDの過去黄金たちは登場時期が遅い程インパクトのあるキャラに仕上がってる。
オカマに獅子飼い、透明人間に半人半馬など濃いキャラのオンパレードだ。
作者としてはただでさえ人気のある無印黄金聖闘士とのキャラの差別化を図りつつ、魅力的な新キャラとして登場させねばならないのだが、そんな中にあってオックスはアルデバランとのキャラの違いがさほど大きくない。
パワーファイターであるのはもちろん、見た目も性格もほとんど一緒だ。
しいて違いを挙げるとすれば髪型くらいだろうか。
アルデバランは長髪、オックスは幼少期の髪型から察するにおそらく短髪である。
もっともオックスはアルデバラン同様、牡牛座のトレードマークとも言うべき2本角のマスクをかぶっているので、髪型の違いはさほどフォーカスされない。
戦闘時の腕組みの構えも一緒だ。
ただオックスは石段にどっかりと腰を落としての腕組みである。
細かい部分ではあるが、このくらいしかアルデバランとの違いはないのだ。
また、他のND黄金たちはオデッセウスとの絡みもあってか幼少期のエピソードも描かれているが、オックスには今の所それがない。
牡牛座のオックスというキャラとしての掘り下げが不十分な感さえある。
どこまでいってもアルデバランの二番煎じなのだ。
アテナを弑するために復活したオデッセウスに向かって「この身が八つ裂きになろうともアテナは裏切らぬ」と言い放ったが、これがオックス唯一のカッコいいシーンである。
しかし、バトル漫画において肝心かなめである戦闘シーンでの凄さはほとんど無い。
実力はかなりのものであるのは疑いないが、結果としてアルデバランと同じ末路を辿ることを決定づけられた点は不遇である。
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