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​地暗星ディープのニオベ

聖域12宮に侵攻したの冥闘士のひとり。

 

見た目は男前とは程遠い量産型ザコ顔なのだが、コイツはハッキリ言ってかなりの強キャラであり凶キャラでもある。

そして冥王ハーデス編の隠れ戦犯的存在とも言える。

 

なぜなら、黄金聖闘士のアルデバランをあっさりと殺しているからだ。

いち冥闘士の戦績としては冥王軍の中でも群を抜いているだろう。

ものの数秒で相手を死に至らしめる魔の香気

だが、読者の視点によるニオベの評価は決して良いものではない。

冥王編は星矢という作品の最終章にあたる。

当然、多くの敵味方が入り乱れる大規模な聖戦の描写が期待されていたはずだ。

 

しかしそれはこのニオベの手によってあっさりと打ち砕かれる。

あろうことか前章でソレントのかませ犬にされたアルデバランを再びかませ犬に用いたのだ。

 

しかも今回は戦闘シーンそのものが丸ごとカットされているため、アルデバランは何一つ見せ場を与えられずに退場を余儀なくされてしまう。

 

金牛宮にたどり着いたムウが目にしたのは、死してなお宮を守ろうと立ち往生を遂げたアルデバランの姿であった。

久方ぶりの登場シーンが死体とは不憫この上ない。

 

そのアルデバランの背後から怪しげなオーラを発しながら現れたのがニオベである。

この男の口から「タウラスにとどめを刺した」というセリフが漏れた瞬間、萎えた読者も多いかもしれない。


 

ニオベはディープフレグランスと言う魔の香気を用いて敵を仕留めるキャラである。

この香りは皮膚から浸透するらしく、息を止めても防げない。

相手の五体を麻痺させてものの数秒で死に至らしめる危険極まりない技である。

 

黄金聖衣の防御力をも無視して息の根を止める致死性は凶悪の一言に尽きる。

ムウはクリスタルウォールで凌いだものの、まともに食らっていたらアルデバランの二の舞になっていただろう。

 

香気といえばアフロディーテのデモンローズが思い浮かぶが、こちらは遅効性であると作中で述べられている。

香の浸透速度および致死性はディープフレグランスの方が勝っているように思える。

もっともデモンローズは石段に敷き詰めて侵入者を拒んだり、花霞に溶け込むディフェンスにも用いられるので利便性ではこちらが上だろう。

アルデバランはどの様にしてニオベに敗れたのか

作中では全く描かれなかったアルデバランの様子だが、それを推察してみよう。

金牛宮にはサガ、カミュ、シュラの3人が押し寄せようとしていた。

1対3という絶対的不利な状況であるため勝ち目はゼロだが、アルデバランも少しでも長く相手を足止めするつもりだったろう。

 

先にも述べたがディープフレグランスは数秒で相手を死に至らしめる技である。

サガ達は動けなくなったアルデバランの横を通過しただけであるため、ニオベが香気を放ったのはアルデバランの眼前にかつての同朋が姿を現した正にその瞬間である可能性が高い。

 

意識が遠のく中でアルデバランはグレートホーンを放っていた。

本人も気づいていなかったがニオベはこれを食らいすでにやられていたのである。

なのでニオベとアルデバランの勝負(というよりニオベの闇討ち)は両者相討ちである。

 

グレートホーンのダメージが現れるまでに結構なタイムラグがあるが、演出上の都合なのでこの辺はあまり深く考えても仕方が無いのだろう。



 

おそらく作者がアルデバランにはさほど思い入れが無く、その活躍シーンを描く気も全くなかったものと思われる。

それゆえにニオベという捨てキャラをぶつけたのだろう。

 

だが結果として黄金聖闘士を討ったニオベは作中でもかなりの強キャラという位置づけになってしまった。

どう見ても作者の意図とは大幅の隔たりがある。

 

ジャンプ連載時の冥王編は徐々に人気を落とし、最後には打ち切りの憂き目にあってしまうが、その遠因の一つにニオベが絡んでいるのは疑いようもないだろう。

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