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​地暴星サイクロプスのギガント

地暴星サイクロプスの冥闘士。

ラダマンティスの命を受けて聖域に侵攻した冥闘士一団のリーダー的存在である。

戦功よりも損害の方が大きかった聖域侵攻

この冥闘士たちはラダマンティスの独断で差し向けられたもので、その数は十数名程度、巨蟹宮で一団と対峙したムウによれば20人近い数らしい。

 

その構成メンバーはリーダー格のギガントをはじめニオベ、ミュー、ライミといった実力者たち、サガ達三人に冥衣を剝ぎ取られたキューブ、ミルズ、オクス、その他は特に名もない有象無象のザコキャラ達である。

 

冥闘士として先に聖域へ乗り込んだシオンやサガたちの監視役でもあるが、基本的にラダマンティスもギガントらも元聖闘士の彼らを信用していない。


 

108の冥闘士のおよそ5分の1ほどが聖域に侵攻したことになるが、その結果は全滅。

アルデバランを討ち取ったもののその他にはこれといった成果は無かったので、冥王軍としては戦功よりも損害の方が大きかった事になる。

その攻撃力は黄金聖闘士にも通用するレベル

そんな冥闘士一団のリーダー格ギガントであるが彼個人の活躍描写は多くない。

 

集団の先頭や真ん中に陣取りセリフを発する場面は多いものの、黄金聖闘士との1対1のバトルは描かれる事は無かった。


 

一応初登場時にはムウに強力な一撃を叩きこんでいる。

 

その威力も中々のもので、ギガントの拳を食らったムウは「全身の骨にヒビが入ったようだ」と述べている。

 

さらにギガント本人も次の一撃でムウの体を粉々にさせる自信はあったようで、その攻撃力は黄金聖闘士相手にも通用するレベルである事が窺える。

 

設定上は一応ビッグナックルという必殺技を持っているようだが、もしかしたらこのシーンの拳がそうなのだろうか。


 

ただこれはあくまでも、相手の動きを封じるパピヨンのサイコキネシスという後方サポートがあったからこそであり、回避や防御壁を駆使するムウとまともに戦えばギガントの拳がクリーンヒットする確率は低いだろう。

 

処女宮でシャカと対峙した時も拳を放っているが、そのモーションは巨蟹宮でムウを殴った時のグーパンチではなく手の平から放たれる拳圧攻撃である。

 

もっとも、これもシャカの堅固な防御壁に阻まれる結果に終わっている。


 

ギガントが黄金相手に自慢の攻撃力を振るうには、パピヨンのサイコキネシスやライミのワームズバインドなどの助太刀が必要なのは明らかだ

 

相手を拘束しロクに戦闘態勢も取れない状況下において、はじめてギガントのパワーは猛威を振るう事が出来ると言える。

 

動きを封じられたムウやアイオリアにとどめを刺す機会はギガントにあったものの、黄金聖闘士とのサシの勝負を望んだパピヨンとライミに止められる憂き目にあってしまう。


 

だがよくよく考えてみればこれらのシーンは冥王軍にとって惜しいと言えるだろう。

 

パピヨンはムウに、ライミはアイオリアに完敗する結果に終わったため、もしこの時にギガントに任せていれば黄金二人を討ち取れた可能性もあるのだ。

 

結果論ではあるが冥闘士たちは勝ち星ふたつを逸した形になる。

洞察力にも優れたパワーファイター

マスクにより目元部分は影で覆われているためそれなりに強キャラらしい風格はあるギガントだが、先の宮に進むにつれてアイオリアやシャカら黄金聖闘士たちの強さの前にたじろぎ手を拱くシーンも増えていく。

 

なのでギガントの強さは「パワーだけなら黄金を恐れさせるものはあるが、やはり総合力では黄金には及ばない」という見方に落ち着くのだ。

 

事実、サガに「シャカはお前(ギガント)たちごときが束になっても敵う相手ではない」と容赦なく言い放たれ、そのサガにも片手で軽くあしらわれる始末である。

 

そもそも同胞のパピヨンにすら気圧されるシーンもあるため、ギガントは「一見強そうではあるが底が見えやすいキャラ」という事になるだろうか。



 

そんなギガントだが、巨漢パワーファイターにしては洞察力もそれなりにあるようだ。

 

別人がキューブらに成し澄まして一団に紛れ込んでいた事実にもそれとなく気づいていた。

 

その正体がサガ、シュラ、カミュである事までは見破れなかったものの、他の冥闘士たちがそれに気付かぬ中ギガントひとりだけは疑念を持ち続けていたのだ。


 

そのサガ達が三人がかりでシャカを攻めた際にも、他の冥闘士たちはそれが防御壁に阻まれたと見る中、ギガントは三人が僅かな手傷をシャカに負わせた事を見極めていた。

 

それなりに戦況判断力もあるのだろう。

 

宿星が地暴星という荒々しい名であるため粗暴なイメージが先行するが、ギガント本人はパワーと知力を兼ねたキャラであるとも言える。

意外と一本気な性格なのか?

出番の割にはこれといった戦闘シーンが描かれなかったため、ギガントのファイトスタイルも不明な点は多いのだが、印象に残るのは「わが冥闘士も臆病者を討つ拳などは持たぬ」のセリフだろう。

 

サガ達三人を前にしたシャカが道を開けた事をギガントらが嘲笑っているシーンである。

 

このセリフのコマにはギガント含め3人の冥闘士が描かれているので、正確には誰が口にしたのかまでは分からない。

 

だがギガントがこのセリフを吐いていたとしても妙にシックリくるのだ。

 

獅子宮でライミに動きを封じられたアイオリアに対して、「せめてもの情け」と止めを刺そうと試みている。

 

それを止めたライミに投げかけた言葉は「あまりいたぶるな」「一思いに殺してやれ」といったものであった。


 

案外ギガントは戦闘に関しては一本気なのかもしれない。

 

ネチネチといたぶるよりも拳一発でケリをつける方が性に合っているのだろうか。

 

見方を変えれば純朴とも捉えることが出来る。



 

そのギガントは処女宮でシャカの天魔降伏を食らい他の冥闘士もろとも撃破された。

 

「冥王ハーデス様に忠実なるものは死してなお永遠の命を与えられる」と、ギガントはその最期の瞬間まで忠義ぶりをアピールするも、人の死生観に関して博識であるシャカは「永遠の命をもらった人間の話など聞いたこともない」という言葉を口にする。

 

それを耳にしたギガントは、自身の命が尽きようとする正にその瞬間に主君ハーデスへの仄かな疑念が芽生えた。

 

これに関してはエリシオンのタナトスが「パンドラも冥闘士も奴隷にすぎん」と言及しているので、シャカの言い分の方が正しいのだろう。


 

別な見方をすればシャカは傷口に塩を塗り込んだとも言える。

 

「慈悲の心を持たない」と自ら口にするシャカらしい言動だが、ギガントにすれば信奉の拠り所が打ち砕かれた形となるだろう。


 

聖域侵攻の任務を果たせなかっただけでなく、信じていたものが偽りだったかもしれないという疑念を抱えて息絶えねばならないギガントの最期は、敵キャラながら物の哀れを感じさせる。

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