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​エスメラルダ

アンドロメダ瞬に瓜二つの少女。

わずか小麦粉三袋でデスクィーン島の農家に売られた。

 

エスメラルダはデスクィーン島近辺の島々の生まれのようだが、貧困層が多く生活水準は低いため、家族のために売られる娘は珍しくもないらしい。

 

そしてそこで聖闘士候補生として日本から送られてきた一輝と出会うことになる。

瞬に瓜二つの少女

一輝によれば、髪の色と性別以外は瞬とエスメラルダは瓜二つとの事。

 

そもそも瞬の顔立ちは「まるで少女の様」だと作中でアフロディーテが述べているので、元々が女顔なのだろう。

決してエスメラルダが男顔というわけではなさそうだ。

 

身体データに関しては、同齢ではあるもののさすがに男である瞬の方が上背はある。

声も似通っているのかまでは漫画ゆえ当然不明。



 

一輝は弟の瞬の身代わりとしてデスクィーン島に送られた。

この世の地獄と呼ばれるデスクィーン島において、弟思いの一輝が弟そっくりの少女と出会ったのだ。

 

過酷な修行に身を置きながらも一輝は、弟瞬の無事を思わぬ日は1日とて無かったであろう。

弟と瓜二つのエスメラルダがいたからこそそう思えたのかもしれない。

デスクィーン島に咲いた一輪の花

デスクィーン島で聖闘士になるための過酷な修行に励む一輝にとって、エスメラルダの存在は唯一の心の安らぎであった。

 

師ギルティーの教育方針は憎悪を強さの基軸とした超スパルタ式であり、修行とは言え一輝は毎日のように手ひどい傷を負っていた。

その一輝を日々健気に介抱し続けていたのがエスメラルダである。


 

一輝はエスメラルダを「デスクィーン島に咲いた一輪の花」と例えたが、彼女はまさに地獄の境遇で触れた仄かな優しさと暖かさそのものだったのだろう。




 

エスメラルダにとっても一輝は心の拠り所だったはずだ。

 

彼女が売られた先の農家の主人にはよく鞭で叩かれていたらしく、その扱われ方は古代や中世の奴隷と何ら変わりはない。

馬や牛などの家畜よりも下の存在と見なされ、コキ使われる日々であった。

 

とても人間にふさわしい待遇とは呼べないが、それでもエスメラルダは貧しい実家の家族たちのために健気に働き続けていた。


 

そんなエスメラルダが一輝と出会ったのだ。

 

共に過酷な境遇に身を置く年頃の少年少女である。

自然と惹かれ合い、互いを思い合う間柄になっても何ら不思議はないだろう。

 

フェニックスの聖闘士になるため日々厳しい修行を重ねる一輝の姿は、デスクィーン島というこの世の地獄で生き続けねばならないエスメラルダが見た一筋の希望だったのかもしれない。

エスメラルダの死によって憎悪に染まった一輝

​だがその心の奥底は…

そんなエスメラルダだが、修行中に一輝がかわした師ギルティーの拳の衝撃を胸に受け、はかない命を散らしてしまった。

 

本人にとっても一輝にとっても悲運のアクシデントである。

 

そしてこれが一輝を憎悪の塊に変える端緒となってしまうのだ。


 

ギルティーは言う。

「その娘はお前が殺したのだ」と。

「敵にとどめを刺せない貴様の甘さが」と。


 

一輝の腕の中でエスメラルダが静かに息絶えた瞬間、それがトリガーとなったのであろう。

憎しみの炎に身を包んだ一輝は師を殺し、そしてフェニックスの聖衣をまとう資格を得たのだ。

 

その意味では、一輝が聖闘士になれたのもエスメラルダの死があったからこそだとも言える。



 

一輝が暗黒聖闘士以上の憎しみを自分の身に宿すに至ったのは、城戸光政に繋がる100人の孤児の出生の秘密を知ったからであるが、そもそもの発端はエスメラルダを死なせてしまった自責の念であろう。

 

後に瞬が「兄さんは自分さえも消滅させようと思って帰ってきた気がする」と口にしているが、その遠因はやはりエスメラルダの死にたどり着くのかもしれない。



 

阿修羅と化し、ジャンゴを倒してフェニックスの聖衣も得て、さらには暗黒四天王以下多くの暗黒聖闘士も従える身となった一輝であるが、その心は完全に悪一色に染まり切ってはいなかった。

 

ジャンゴを倒しに向かう火口のほとりで岩肌に咲く一輪の花を目にし、亡きエスメラルダを思い返すシーンがその表れだろう。

 

また、暗黒聖闘士討滅のためにデスクィーン島へやってきたシャカの目にも、一輝は「正義を無理矢理心の奥底にしまおうとしている」と映った。

 

悪の心は宿っておらず、一点の曇りもない目であると見抜いたのだ。

(余談だがこのシーンのシャカは閉眼しているので、視覚ではなく五感を超えたセブンセンシズで見ていたのだろう)

 

一輝の表面上は憎悪の塊だがその本質は正義であることをあっさりと看破したのだ。


 

何よりエスメラルダの墓前に花の輪を備えているが、これが一輝の手作りならとても憎悪一色の人間には務まらないはずだ。


 

そして海皇編のリュムナデスのカーサは一輝の心のさらに奥深い部分にエスメラルダの存在を見つけ出したが、それがすべての答えだろう。

 

一輝最愛の存在は紛れもなく弟の瞬である事は疑いようもない。

 

だがエスメラルダはその瞬よりもさらに奥深く、そして仄かで儚い存在であることが立証されたのだ。



 

デスクィーン島に咲いた一輪の花エスメラルダ。

彼女は今も一輝の心の中でひっそりと咲いていることだろう。

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