
ユリティース
琴座のオルフェの恋人。
髪色は不明だがロングヘアーの美女である。
星矢と瞬も「なんて美しい人」と口にしている。
毒蛇に噛まれて命を落としたオルフェの恋人
「オルフェとはとても愛し合っていた」と本人が語るように、相思相愛の恋人同士だった模様。
回想シーンでは、多くの花々が咲く野で琴を弾くオルフェに寄り添うユリティースの姿が見える。
しかし、ユリティースは毒蛇に足を噛まれてその命を落としてしまう。
美人薄命というには余りにも可哀そうな最期である。
恋の最中は愛する人と一緒にいられる時間が何より楽しく、二人の幸せな未来に想いを馳せるのが常である。
それゆえに、まさか本人もこんな事で短い生涯を終えるとは思ってもいなかっただろう。
毒死の場合は麻痺や嘔吐を伴ったり体に腫物が出来るケースもあるが、オルフェが恋人の死体の前で涙を浮かべるシーンを見る限り、ユリティースの美貌は損なわれていないように見える。
それがせめてもの救いであろうか。
ともあれ、これがオルフェの冥界行きの原因となる。
死んだユリティースを生き返らせるため、オルフェは琴を奏でて冥王ハーデスに嘆願した。
オルフェの琴の美しさに聞きほれたハーデスは、「地上に着くまで一度も後ろを振り返ってはいけない」という条件でユリティースを地上に連れ帰る許可をオルフェに与えたのだ。
第二獄で半身が石となり地上には戻れず
ユリティースは死人であるため、本来ならば冥界の8つの獄のいずれかに落とされていたはずである。
(オルフェの冥界行きは108魔星復活の数年前だが、その時点でファラオの姿が確認できるので裁判官ルネや他の冥闘士も同様にいたのかもしれない。)
だがオルフェがハーデスに琴を吟じたのはジュデッカであり、嘆願が通じたすぐ後のコマでは生前と変わらぬユリティースの姿が確認できる。
オルフェがユリティースの亡骸を抱いて冥界に行ったのか、パンドラがテレポートでユリティースを呼び寄せたのか、はたまた冥王の力なのか真偽は不明だが、ともかく二人は地上に帰れることになった。
その手段はおそらく徒歩である。
ジュデッカから冥界八獄を逆行して地獄門を目指すことになるのだ。
聖闘士のオルフェはともかく一般女性のユリティースには長く苦しい道程であったろう。
冥界地獄絵図を見る限り、第八獄のコキュートスは辺り一面氷地獄、3つの谷は血の池、森林、熱砂地獄である。
第五獄と第六獄の間には巨大な迷路らしき建造物も見える。
第二獄でユリティースが「もう歩けない」と弱音を吐くシーンがあるが、そこまで行けただけでもかなりの健脚である。
しかし、「死者を蘇らせることは悪しき先例」とするパンドラの命を受け、第二獄の番人スフィンクスのファラオはパンドラの鏡を用いて地上の光を偽装した。
それを地上への出口と見誤ってオルフェが後ろを振り返ったため、ユリティースの下半身は石と化して第二獄に繋ぎ止められてしまう。
その後オルフェは地上に戻らず、第二獄に留まりユリティースのそばに居ることを選ぶのだった。
第二獄は冥界で唯一花が咲く地である。
薄暗い冥界の中にあって珍しく地上の明るさを偲ばせる場所とも言えよう。
そこがユリティースにとって終の場となったのがせめてもの慰めであろうか。