
蛇遣い星座のシャイナ
女性白銀聖闘士。
星矢とペガサスの聖衣をかけて戦ったカシオスの師でもある。
カシオスによれば、数少ない女聖闘士の中でもその戦闘能力は男顔負けのものらしい。
男勝りの戦闘力!
それに反して弟子への指導力は…
カシオスの師であるシャイナは第1話から登場している。
当然ながら主人公の星矢とは敵対ポジションであり、日本人の星矢に聖衣を持っていかれるのを快く思っていなかった。
とにかく気が強く、弟子のカシオスを倒した星矢に逆恨み同然の闇討ちを仕掛けている。
正規の手続きを経て聖闘士となった星矢に対してこの仕打ちだ。
ハッキリ言って私怨である。
聖闘士に成りたてとは言え聖衣を装着した星矢を生身で圧倒する辺りは流石白銀といったところか。
「一思いに頭を潰して止めを刺す」とまで口にしているので殺す気満々である。
禍々しい毒蛇の背景イメージを伴って放たれる必殺のサンダークロウは、その爪で凄まじい電撃攻撃を相手に叩き込む。
アニメ主題歌「ペガサス幻想」の丁度サビ部分の映像がこの技なので知名度も高いだろう。
ともあれシャイナは星矢が初めて聖衣を装備して戦った最初の相手である。
そしてこの戦いが後にシャイナのキャラを深める事になるのだ。
自身の戦闘力の高さとは裏腹に、弟子への指導力は少々疑問が付きまとう。
どうやらカシオスに小宇宙の概念を教えていないらしく、表面的破壊力を身につけただけの残忍ファイターに仕上げただけであった。
同じ女聖闘士の魔鈴とはライバル関係にあるが、戦闘能力は大差なくとも指導力の面ではシャイナは大きく劣るようだ。
仮面の下の素顔を見られた女聖闘士の掟
作中初期では単なる敵方の女キャラというポジションだったシャイナだが、白銀聖闘士編で再登場した時には彼女のキャラが一段と深みを増すことになる。
仮面の下の素顔を星矢に見られたことによって、女聖闘士の掟に従い星矢を殺すか愛するかの選択をしなければならなかったからだ。
シャイナは執拗に星矢の命を狙い続ける。
再戦を約束した相手でもあり、教皇の命による抹殺対象でもあるのも理由のひとつだろう。
しかし、その心情の奥には星矢への愛が芽生えてしまったからこそだ。
事実、星矢たち青銅聖闘士の抹殺命令を受けた黄金聖闘士のアイオリアが現れた時には、星矢をかばう素振りすら見せている。
殺さねばならない相手である星矢を愛してしまい、それゆえに星矢を殺せないシャイナの複雑にして一途な乙女心である。
アイオリアの拳から身を挺して星矢を守り、傷だらけの体で自分の思いを伝えたシャイナ。
愛する男の腕の中で、愛する男の温かな小宇宙をその身で感じたシャイナ。
物悲しくも甘酸っぱい名場面である。
その気持ちに対して星矢は明確な答えを告げてはいないが、少なくとも自分の身代わりになって負傷したシャイナのために涙を流して号泣している。
シャイナという女キャラの魅力は全てこの一点に詰まっていると言っても過言ではない。
過去の時代で呪われし星座が復活!
その余波がシャイナにも…
そして続編のND冥王神話では彼女の立ち位置にさらなる変化が起きた。
シャイナの守護星座である蛇遣い座はかつて神話の時代に存在した呪われた星座、13番目の黄金聖闘士のものなのだ。
過去の時代で伝説の蛇夫宮と、アテナ以上のカリスマと称されたオデッセウスが蛇遣い座の黄金聖闘士として復活する気配を見せる中、現代のシャイナにも一時異変が起きてしまう。
この世の終わりをもたらすとまで言われる蛇遣い座の黄金聖闘士の復活に、少なからずシャイナも絡む事になったのだ。
もちろん連載当初からこの様な展開を見越して作者がシャイナというキャラを生み出したはずがない。
彼女の守護星座をたまたま蛇遣い座にしただけの話であろうが、それが後々に大きな巡りあわせになる点を見ると、作者もまた漫画家という星の下の命運に導かれた存在なのかもしれない。