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​蜥蜴星座のミスティ

聖闘士の掟を破り私闘を演じた星矢たちを抹殺するために日本にやって来た白銀聖闘士のひとり。

白銀聖闘士編の最初の敵として星矢と戦った。

星矢たち青銅聖闘士よりワンランク上の強敵、一度の敵の攻撃を受けたことが無いという鉄壁の防御、自らは一滴の血も流さずに勝利を収めるという戦闘哲学、さらには自身の美貌に酔うナルシストなどなど、様々な要素がミスティというキャラを色濃く染め上げている。

それゆえか白銀聖闘士の中でも知名度は高い。

​星矢の成長を促した格上の強敵

必殺技のマーブルトリパーは富士の地底を揺るがすほどで、作中のこの時期の技の威力としてはかなり桁外れである。

仲間のモーゼスたちには抹殺対象の青銅聖闘士は全員自分1人で片付けると言っていたらしく、この技で一網打尽にするつもりだったのだろう。

(実際にはムウのテレポーテーションにより星矢たち4人は無事だったが)

 

本来なら上司にあたる牡羊座のムウにも不遜な態度で迫り、挑発と脅迫をしているシーンも有名だ。

もっともこれは、作者がこの時点ではムウを黄金聖闘士の一人という設定にしていなかったせいである。

ミスティの視点から見ても、ムウという男はジャミールという僻地に住む聖衣修復士という認識でしかなかったであろう。

 

魔鈴、そしてモーゼスたちの登場でムウの事はうやむやになったが、下手に攻撃してもクリスタルウォールで弾かれて自滅していた可能性も高いので、むしろミスティは命拾いしたことになる。

 

聖衣を纏った星矢が戦いを挑むが、流星拳を受けても身じろぎひとつせずノーダメージであった。

これは両手で空気の防御壁をつくっているためであるが、それを打ち破るために星矢は流星拳の一点集中攻撃である彗星拳を編み出した。

ミスティは主人公の新必殺技のキッカケとなったキャラでもある。

 

新必殺技と言えば、この戦いの決め技として星矢はローリングクラッシュを初披露している。

これも彗星拳と並んでここ一番で使われることが多い技である。

それを考えれば、ミスティという格上の強敵を倒すために主人公星矢がこの一戦で遂げた成長は大きいと言える。

さらにこの戦いの経験が後のシーホース戦でも活きるので、ミスティは間接的に星矢の成長を促したことになるのだ。

 

鉄壁の防御=攻撃を食らわない=痛みを知らないという彼の個性も、男臭さが信条の車田漫画では非常に役に立つ。

男臭い主人公が涼しげな顔の敵と戦い、自慢の泥臭さで勝利を収めるという鉄板パターンを用いるのに都合が良いからだ。

無傷の勝利を美学とするミスティと、体の傷は男の勲章と考える星矢の対照にもなる。

作中でも全く通じなかった星矢の拳が、一つまた一つとミスティの防御壁をかいくぐりダメージを与えてゆく。

野球でいえば大量リードを奪いながらも相手の反撃でジワジワと点差を詰められるようなものだ。

​事実、ミスティは星矢の小宇宙が青銅以上である事を目の当たりにし、逆転負けを喫する。

神よ、私は美しい

ミスティの最大も見せ場は、体に浴びた返り血を洗い流すためにフルヌードになって自身の美に酔う「神よ私は美しい」のシーンだ。

登りくる朝日を背に、「アテナ以外に私の美に勝る存在はあるまい」と作中屈指の名セリフを発している。

彼はアフロディーテの存在を知らなかったのか、それとも知っていてなおこの様なセリフを吐いたのかは不明である。

 

ちなみにムウと貴鬼もこの戦いを観戦していたので、当然上記のヌードシーンも目にしているはずである。

ムウはともかく、まだ幼少で多感な時期の貴鬼はどう思ったであろうか・・・。

 

星矢も当の対戦相手がまさか戦闘中に素っ裸になるとは予想もしなかったであろう。

「バッカじゃねえのかお前」は紛れもなく星矢の本心だろうが、それでも聖衣を装着する時間を与える辺りは主人公として立派である。

 

美を信条とするミスティは、その最期の瞬間まで美しい。

ローリングクラッシュを食らって星矢とともに海中に沈んだが、ひとり砂浜に立ち戻り、星矢の闘志を称えて笑みを浮かべながら逝った。

 

色々と話題の尽きないミスティであるが、少なくともその強さは新シリーズの幕開けに相応しいキャラであることは間違いない。

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