
白鳥星座の氷河
キグナスの青銅聖闘士。
城戸光政の100人の子の一人で母はロシア人のナターシャ。
シベリアの地で師の水瓶座のカミュの指導を受け、兄弟弟子で後の七将軍の一人アイザックと共に聖闘士の修行を受ける。
クールに徹して敵を討つ凍気の使い手
氷河というキャラ名の通り、得意とするのは凍気の拳である。
基本技のダイヤモンドダストは作中でも多く使われ、氷河がまず初手に繰り出すのも大体この技だ。
そのダイヤモンドダストを「静」とすれば、「動」にあたるのが最大奥義のホーロドニースメルチである。
強敵相手との勝負所でくりだす大技だ。
そして氷の結晶が相手の体を取り巻き拘束するカリツォー、さらには師カミュゆずりの水瓶座最大奥義オーロラエクスキューションと技のメリハリがハッキリしている。
そして氷河の戦闘スタイルの根本を司るのがクールの精神である。
師のカミュから「どんな強敵を前にしても常にクールでいろ」と教えられた氷河は「クールに徹して敵を討つ」を信条に持つ。
しかしながらクールに徹しきれない甘さも時折見せるが、それもまた氷河というキャラの魅力の一つなのかもしれない。
亡き母と師のカミュ
氷河を語るうえで欠かせないのが亡き母と師のカミュであろう。
氷河が聖闘士を目指すためのモチベーションは、氷海に沈んだ船に眠る亡き母に会うためである。
分厚い氷を叩き割って海に潜るためには聖闘士の超人的なパワーを体得しなければならないが、母への思いが強いからこそ極寒の地シベリアでの厳しい修行にも耐え抜けたのだろう。
師のカミュもまた氷河にとってはかけがえのない存在である。
七将軍リュムナデスが氷河最愛の人物として変化したのはカミュだったのもその証だろう。
氷河とカミュは師弟愛という単純な言葉だけでは語りつくせない間柄であり、宝瓶宮の戦いにもそれは表れている。
この2人への思いが強いだけに氷河は時には強く、そして時には脆くもなる。
対戦相手は凍気使いやテクニカルタイプが多い
氷河が対戦した相手はブラックスワン、師のカミュ、ともに修業したアイザック、先代水瓶座のミストリアと凍気の拳の使い手が多い。
それと同様にテクニカルな技を持つ相手との交戦歴も多いのだ。
ヒドラの毒牙、バベルの炎、ミロの毒針、ミーノスの糸などバリエーション豊かである。
逆にオーソドックスなファイタータイプとはほとんど戦っていない。
しいて言えば過去の時代で交戦した山羊座の以蔵が武人タイプに属するだろうか。
もし銀河戦争が中断せずに続いていたなら、主人公の星矢と戦うはずであった。
両者の戦いがどのようなものになったか、それはそれで面白そうである。
初期のスタンスは「敵か味方か分からない奴」
銀河戦争と言えばそもそも氷河には参戦の意思がなかった。
聖域の命を受けて星矢たちの抹殺に向かったので、作中初期の立ち位置はむしろ体制側ということになる。
氷河にすれば銀河戦争は見世物ショーであり、それに参加した星矢たちかつての孤児仲間は聖闘士の掟を破った反逆者ということになるのだが、その抹殺指令を遂行するために自身も銀河戦争に参加してルールに則り試合をしているのだから氷河の思考回路は意味不明である(笑)
あっさりヒドラ市を倒し、次戦で星矢または紫龍と戦う気満々なのだから、教皇(サガ)が「ミイラ取りがミイラになった」と揶揄するのも無理はない。
その教皇も、聖域の重大な使命を手紙で郵送で送るのだからどこかヌケている。
普通は勅使を立てたりするものだが、この辺はあまり突っ込んではいけないのだろう。
ともかく、星矢と紫龍の戦いを見て私闘とは違うと判断した氷河だが、暗黒聖闘士の乱入もあって一応は星矢たちと足並みをそろえる形となる。
これが後にミスティら白銀聖闘士たちに命を狙われる遠因にもなるのだから皮肉な話である。
作中初期の氷河のスタンスは、主人公である星矢とはある程度の距離を置いた半一匹狼的なものであった。
星矢も「敵か味方かわからない奴」という評価をくだしている。
後に一輝が仲間入りすることで一匹狼ポジションはそちらに移行し、氷河はいつのまにか星矢、紫龍、瞬らと行動を共にする立ち位置に落ち着いた。
意外と少ない星矢との絡み
ストーリーへの関連度も薄い
その様な背景があったからか、氷河は主人公星矢との接点が驚くほど少ない。
瞬や紫龍とコンビを組むことはあるが、星矢との一対一の絡みは殆んど無いのだ。
しいて言えば海皇編終盤で星矢の盾になったことくらいだろうか。
もちろん氷河は星矢の事も「熱き血潮の兄弟」と口にしているので、上記に関しては単純に描写不足なだけであろう。
さらに氷河はストーリーそのものにも密接した関連性がやや薄いという特徴もある。
それは主にハーデス編で顕著である。
主人公の星矢、ハーデスの依り代である瞬、その兄でありパンドラとも因縁のある一輝、シオンの盟友である童虎の弟子の紫龍など他のメンツはそれなりに物語に何かしらの関連があるが、氷河に至ってはそれがほとんどない。
というより、先のポセイドン編のアイザック戦で氷河個人に関する背景は描き切った感がある。
ハーデス編序盤で「マーマには二度と会いに行かない」と誓い、師カミュと友アイザックに感謝の意を述べるシーンがあるが、これを以て氷河というキャラの掘り下げはほぼ完成したといってもいいだろう。
そのためか冥王十二宮編での参戦も遅く、冥界編でも紫龍とともにカノンの後をついて行っただけである。
折あしく冥王編連載中に作品の打ち切りも決まったため、氷河個人にスポットを当てる余裕も無かったのだろう。
一応は三巨頭ミーノスを倒すという武勲も挙げているが、これも打ち切りを前にした消化試合の感が強い。
その反省を活かしてか、続編の「NEXT DIMENSION 冥王神話」では天闘士の斗馬との間に因縁をもうけ、さらに過去に時代では幼女となった沙織のお守という大任が与えられた。
沙織を守る役はこれまでほとんど星矢の専売特許だっただけに、NDにおける氷河の存在感はとても大きい。
そして前聖戦時代の黄金聖闘士ミストリア、以蔵、ゲシュタルトと立て続けに対峙する活躍ぶりである。
NDは現在も不定期連載中であり、今後の氷河の動向にも注目が集まる。
水瓶座を継ぐ者
氷河は過去の時代で先代水瓶座の聖闘士ミストリアと戦い、そして未来の水瓶座を継ぐ者と認められた。
氷河が黄金聖衣を打ち破る究極の凍気・絶対零度を体得していることを、ミストリアは戦いを通じて気付いたのだ。
そしてアテナを託すに足る男であることも。
アテナのもとで幾多の戦いを経てきた氷河は、いつしか黄金聖闘士にも迫るほどの強さを身に着けた。
かつては海に沈んだ亡き母を引き上げるために聖闘士を目指した氷河だが、いまや堂々たるアテナの聖闘士である。