
天罪星リュカオンのフレギアス
天罪星リュカオンの冥闘士で冥界第四獄の番人。
氷河と紫龍を一撃KO
第四獄にたどり着いたカノン、紫龍、氷河が次に目にしたのは広大な暗黒の沼であった。
フレギアスはそこで渡し守をしている。
同じ渡し守のアケローンのカロンはそれなりに豪華な小舟だが、このフレギアスはいかにも簡素な筏である。
見たところ筏も櫂も木製だろうか。
この獄の詳細は作中では特に語られないが、冥界地獄絵図によれば不満や怒りの罪人が互いに沈め合うという中々物騒な場所の様だ。
アテナの聖闘士たちが冥界に侵入したとの報は冥闘士に知れ渡っているらしく、その死体は見せしめのために最も重い獄に落とす事になっていたようだ。
カノン、紫龍、氷河の前にフレギアスは獄の番人として現れた。
筏に乗ったまま読者に後姿を見せての初登場シーンである。
河岸でそれを迎え撃つ紫龍と氷河だが、その表情には余裕に満ちていた。
「三途の川同様渡し賃がいるのかな」などとジョークを飛ばす余裕さえ見て取れる。
先の第三獄を難なく突破した2人である。
この第四獄もあっさり突破できると思っていたのだろう。
しかしこのフレギアスはロックやイワンとは比べ物にならないほどの強さを誇る冥闘士であった。
筏を乗っ取る気満々で放った紫龍の昇龍覇を片手で楽々受け止める。
その際に紫龍はこのフレギアスの小宇宙が並々ならぬものであることに気づくのだ。
相手が只者ではないと感じ取ったのか氷河もダイヤモンドダストで加勢するが、こちらも全く通用しない。
ゼーロスやイワンには通じた凍気が何一つ効かないことに氷河も驚く。
ここでフレギアスは名乗りを上げ、そして間髪入れず必殺のハウリングインフェルノをぶち込んだ。
両の拳で強力なボディーブローを放って紫龍と氷河を二人まとめてあっさりKOしたのである。
技の詳細は良く分からないが、拳圧で相手をぶっ飛ばす奥義が多いこの作品においては珍しいショートレンジ描写である。
紫龍と氷河の拳を受け止めた状態から放ったのでそうなっただけかもしれないが・・・。
少なくともストレートパンチ系ではなく双方の拳で同時に繰り出すボディアッパーモーションであることは確かなようだ。
女神の血で蘇った最終青銅聖衣を破損させている点を見ても威力はかなりのものである。
かなりの猛者だが強さの尺度は分からずじまい
この時点でフレギアスはかなりの猛者であることが分かるが、彼の次なる相手はあのカノンである。
冥界編のカノンはギャラクシアンエクスプロージョンをバンバン披露するという特性がある。
人気技なので読者サービスの面もあるのだろうが、この餌食になった冥闘士も多い(通称カノン無双)。
そしてフレギアスもその中の1人に名を連ねることになる。
先ほど紫龍と氷河を倒した時に放った必殺のハウリングインフェルノはすでにカノンに見切られていたため、あっさりとカノンの拳を食らって絶命した。
かなりの強キャラの割には出番も10ページほどしかなく、あっけない最期となってしまったのだ。
そしてこのカノン無双によってフレギアスの強さの尺度は完全に不明になってしまった。
少なくともノーマル時の主役青銅4人の戦闘力よりは遥かに上の実力である事は確かだが、ミューやニオベのように黄金とそれなりに渡り合えるだけの力があったのかどうかまでは分からずじまいである。
カノン無双は味方キャラの活躍を奪うだけでなく、冥闘士の詳細をも不明に陥れる恐るべき描写と言えよう。
第四獄の筏は誰でも漕げるのか?
フレギアスを倒したカノンは特に苦も無く筏を操り次の第5獄に到着しているので、アケローン河専属渡し守のカロンとは違って筏はフレギアスでなくとも漕げるのかもしれない。
一応別の可能性もある。
カノンの前職(?)は海闘士であり、加えてスニオン岬に幽閉された過去を持つ。
いわば水に因んだ環境に慣れているため操船技術もお手の物なのだろうか。
ともかく、第四獄の交通手段である筏を誰でも操れるのならば、このような僻地になぜフレギアスほどの猛者が配属されていたのかが謎になる。
普通に遊撃部隊として出陣した方がよほど戦功を立てられそうな気もする。
第四獄という鬱蒼とした地で黙々と任務をこなしていたであろうフレギアス。
定期演奏会のためにジュデッカへ向かうオルフェや、冥界を駆けずり回る苦労人ラダマンティスも筏に乗せて運んだのだろうか。
カロンなら舟歌を口ずさんだり世間話のひとつでもして同乗者に気軽に話しかけそうだが、フレギアスはどう見てもそんなタイプではない。
対岸に着くまで黙々と筏を漕ぐ様が似合っている。