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​地奇星フログのゼーロス

地奇星フログの冥闘士。

 

平素から地に伏したスタイルで、「ピョン」という擬音を響かせながら蛙さながらに飛び跳ねて移動する。

 

イボらしき突起を伴うフログの冥衣と同じように自身の顔もイボ(吹き出物?)に覆われ、その上出っ歯というブサイク面、さらにはケケケという下卑た笑い声と、一見しただけで好感を持てそうもないキャラであるのが丸わかりだ。

 

事実、このゼーロスを一言で表すならば「虎の威を借る狐」といった所であろう。

ハーデス城で命令伝達を行う小賢しい小物

作中描写を見る限り、地上のハーデス城でパンドラや他の冥闘士間の命令伝達を受け持っているようである。

 

雑兵のスケルトンたちも伝令の任に携わっているのだが、ゼーロスの場合は上司のパンドラやラダマンティスらと直々に面を合わせ、言葉を交わす機会も多いと思われる。


 

実際の歴史においても権力の側に在る者は忠臣か君側の奸に大別されるケースが多いが、ゼーロスは紛れもなく後者だ。

もっともゼーロスは奸臣というよりは小賢しい小物とでも呼ぶ方がシックリくる。



 

ラダマンティスは冥闘士十数人を聖域へ向かわせたが、その手はずを整えたのがゼーロスだ。

 

これはラダマンティスの独断であるためパンドラの耳に入らぬよう秘密裏に行われたのだが、結果としてはパンドラの知るところとなってしまう。

 

誰がパンドラに告げ口したのかは作中では明らかにされていないが、犯人の可能性が高いのはやはりゼーロスであろう。


 

ゼーロスは初登場時からパンドラの名を持ち出してはラダマンティスを皮肉っている。

 

表面上は勝手な命令を下したラダマンティスの立場を案じてはいるが、本心はそうでないのが丸わかりだ。

 

ケケケという人を小馬鹿にした笑い声もそれを強調している。

 

多くの読者はこのゼーロスに「敵軍サイドのいけ好かない奴」という認識を持つはずだ。

 


 

聖域へ侵攻した冥闘士たちは全滅の憂き目にあう。

 

ゼーロスはその知らせをラダマンティスに告げるのだが、ここでもコイツの小悪党ぶりが垣間見える。

 

同胞の冥闘士たちがやられた事は冥王軍全体の戦力ダウンに繋がるのだが、ゼーロスは明らかにそれを意に介しておらず、むしろラダマンティスの失態を面白がっている素振りすら見せているからだ。



 

パンドラは勝手な命令を下したラダマンティスに対して電流(?)によるキツい罰を与えるが、ゼーロスもその場にいた。

 

三巨頭ラダマンティスが膝下の態勢のまま苦しむ姿を見て、悦に入っているのだ。

 

このシーンだけでもゼーロスというキャラの小憎たらしさが伝わってくる。

四感喪失状態のサガ達に手も足も出ず

大体この手のキャラは仲間内からも、そして読者からも好かれるはずがない。

 

そしてロクでもない最期を迎えるものと相場が決まっている。


 

アテナの亡骸を抱えてハーデス城に帰還したサガ、シュラ、カミュたちは、パンドラに謁見。

 

冥闘士として聖域侵攻の任を遂げた彼らであるが、その本心はアテナ側である事は言うまでもない。

むろんアテナの亡骸に見せかけた布はもぬけの殻である。

 

その布を剝ぎ取ったのがゼーロスだ。



 

冥闘士という偽りの衣を脱ぎ捨て、本来の立場であるアテナ側へと旗幟を鮮明にしようとするサガ達。

 

パンドラも三人の態度に不審なものを感じ取ったようで、場の雰囲気は少しずつ緊迫の度合いを深めてゆく。


 

そこにゼーロスが割って入った。

その際に「パンドラ様に対して不遜であるぞ」というセリフを吐くが、腰巾着然としたゼーロスが口にするには似合いのフレーズだ。

 

上司への無礼を咎める意味合いもあるだろうが、それ以上にゼーロスの小者臭さを引き立たせる文句である。


 

ゼーロスは威勢よく飛び掛かったものの、鬱陶しい蠅を払うかのように繰り出されたカミュの凍気をくらって逆に吹っ飛ばされる始末であった。

 

そしてパンドラはサガ達の人質になりかけるのだが、上司のピンチという一大事にゼーロスは物の役にも立たない事を立証する形になったのだ。


 

なお、この時点でもシャカの天舞宝輪の効果が持続しているのは、サガ達の瞳のエフェクトや文字のフォントで判別がつく。

 

相手が黄金聖闘士とは言え4感喪失状態の相手に、ゼーロスは手も足も出なかったのだ。

やられた仕返しに何度もカミュを足蹴にする

そのサガ達だが、天窓から差し込む夜明けの薄明かりを浴びて急激にパワーダウンしてしまう。

 

ハーデスから与えられたかりそめの命が、まさにこの瞬間にタイムリミットを迎えようとしているのだ。

 

結果的にパンドラには何の負傷もなく、ただ単に時間が事態をあっさり解決したというわけだ。

 

ゼーロスにしてみればやられ損である。


 

その腹いせなのか、もはや精魂尽き果てたカミュに対してゼーロスは何度も足蹴を食らわせる。

 

ちなみにこれ以降のシーンでは2本の足による直立スタイルに変じている。

戦闘時はこの態勢になるのだろうか。


 

この時点ではすでに、パンドラの命によりハーデス城の冥闘士は冥界に向かう事になっていたのだが、ゼーロスはいまだ城に残りカミュへの仕返しに終始していたのだ。

 

「よくもフログ様をど突きやがって」と尊大なセリフを吐きながらカミュを蹴りまくる様は、さながら「虎の威を借るうちに自身が虎だと錯覚する雑魚」を思わせる。

 

ハーデス城に乗り込んだムウ達三人を撃退したラダマンティスもその場に姿を見せるが、ゼーロスの行動に対しては「無益なことはやめておけ」と述べるに留まった。

 

もしかしたら心の中ではゼーロスを見下していたかもしれない。

小物らしい因果応報な最期

そしてそこへ、広間の天窓をぶち破って星矢たち青銅四人が現れた。

 

星矢の蹴りを食らって吹っ飛ぶゼーロスは、主役陣の颯爽とした登場シーンに花を添えた形となる。

 

カミュに続いて星矢にもど突かれたゼーロスは怒り心頭、威勢よく反撃するかと思いきや、ターゲットにしたのは半死半生のカミュであった。

 

ど突いた張本人の星矢ではなく無力なカミュを痛めつける辺り、ゼーロスの小物臭が感じ取れる。

 

ちなみにカミュは少なくとも10回以上はゼーロスに蹴られているが、その内の4回ほどは星矢のせいでとばっちりを食らった様なものである。


 

そして、師カミュを足蹴にされ、心の中ではおそらくブチ切れていたであろう氷河の凍気を食らい、ゼーロスはまたも吹っ飛ばされる。

その際に足に凍傷を負った模様。

 

コイツは威勢は良いのだが、とにかくぶっ飛ばされてばかりだ。


 

ど突かれっぱなしで立腹するゼーロスは、ハーデス城の崩壊が迫る中、撤退を促すラダマンティスの言葉を無視して星矢たちに戦いを挑もうとする。

 

3分程度もあれば青銅4人をあっさり片付けると豪語するも、氷河のダイヤモンドダストを食らって又も吹っ飛んだ。

 

しかも風邪までひいてしまったらしく、先ほどまでの威勢はどこへやら、ラダマンティスに加勢を頼む始末である。


 

だがラダマンティスは、撤退はパンドラの命令である事を持ち出してゼーロスへの助力を拒否。

 

普段からパンドラの威を借りていたゼーロスにとって、ラダマンティスのこの言い分は手痛いしっぺ返しに等しい。

 

その上、一度はラダマンティスに「手も口も出すな」と言った手前、ゼーロスは一気に不利な立場へと追いやられるのだった。

 

ラダマンティスにすれば、ゼーロスを見捨てるのに十分な大義名分が揃った形となる。



 

もはや後に退けないゼーロスは、全力をもって青銅四人を叩き潰すべく戦意を露わにする。

 

クオオオオ(ワオオオ?)という小宇宙燃焼音とともに自身の背後にオーラを浮かべるも、師カミュへの餞の拳として放った氷河のオーロラエクスキューションの前にあっさりと敗れ去った。

 

その最後のセリフは「ラダマンティス様ぁ~」であったが、その意味するところは、自分を助けてくれなかった上司への恨み節だろう。

 

コイツの最期は因果応報という他ない。



 

全力とやらを見せる間もなく絶命したため、ゼーロスの実力がどれほどのものだったのかは不明である。

 

吹っ飛ばされるシーンが多かったものの、カミュと氷河の凍気を食らってもまだ一応は余力がある所を見ると、見た目ほど弱くはないのかもしれない。

 

少なくとも耐久力に関しては、ダイヤモンドダストの一撃で倒れたトロルのイワンよりは上であろう。



 

ラダマンティスの言う通り、放っておいても消滅するカミュらを無視してさっさと冥界へ向かっていれば、こんな惨めな最期を迎えずに済んだかもしれない。

 


 

コイツが冥界においてもパンドラの側仕え的ポジションを確保しているのかは不明である。

 

だがもしそうなら、冥界最奥部ジュデッカでもパンドラの威を借りて色々と姑息な真似をしでかしていただろう。

 

ラダマンティはおろか、下手をしたらミーノスやアイアコスまでコイツに皮肉られていたかもしれない。


 

アテナの冥界侵入という緊急事態の最中、ゼーロスの嫌味や皮肉に付き合わされてはたまったものではないだろう。

もしかしたら、ラダマンティスはそれを見越してゼーロスを見殺しにしたのかもしれない。


 

いずれにせよ、ゼーロスは小物に相応しい最後を飾った事になる。

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