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​シーホースのバイアン

ポセイドンに仕える海闘士で北太平洋の柱を守護する七将軍のひとり。

十二宮編が終わり海皇編へ!

​その新章最初の強敵となるはずが…

このバイアンというキャラの作中における役割は大変重要なものであった。

 

聖域12宮編に次ぐ新章海皇ポセイドン編が幕を開け、主人公組星矢の最初の対戦相手として登場したのだ。

 

黄金聖闘士という魅力的なキャラを登場させた前章の12宮編が大変な人気であるのは説明の必要は無いだろう。

 

その流れを継いで新章でも新たな強敵とのバトルに期待する読者も多かったはずだ。

 

バイアン登場に先駆けて同じく七将軍のひとりソレントが前章の強敵アルデバランを撃破(厳密には沙織の登場により戦闘中断)するという、少年漫画によくある「かつての強敵をかませ犬にして新キャラの強さを引き立てる」展開をすでに見せている。

 

それゆえに、主人公星矢とこのバイアンとの戦いはポセイドン編の開幕戦とも言うべき非常に大事なバトルであったとも言えよう。



 

だが結果を先に述べれば、バイアンの実力と存在感は黄金聖闘士の圧倒的な強さと魅力には到底及ばない物であった。

必殺技の描写は規格外

決してバイアンが弱いわけではない。

 

むしろ彼の強さはそのことごとくが規格外のレベルで描写されているほどだ。


 

まず初登場シーンでいきなり星矢の彗星拳を片手で楽々遮っている。

 

星矢の最強技をワンハンドキャッチして只者ではないオーラを見せつけているのだ。


 

そしてディフェンス能力が高い。

光速に近い動きで両手を旋回し、空気の防御壁を作り上げて流星拳をことごとくシャットアウトしている。


 

さらに必殺技のゴッドブレスがまた凄い。

 

何しろ息吹ひとつで星矢を吹っ飛ばすのだ。

 

これまでに指一本で相手を吹っ飛ばすキャラはいたが、息吹だけというのは後にも先にもこのバイアンだけである。

 

ペガサスの聖衣が黄金聖闘士の血で蘇ったものであるため致命傷にはならなかったものの、それ以前の聖衣だったら一撃で粉々にされていたと星矢が述べている。

威力も相当なものだ。


 

そしてバイアンにはこのゴッドブレスをも超える最大奥義ライジングビロウズもある。

 

有翼の馬(見ようによってはペガサスにも見える)のイメージを背に上空に向かって掌を突き上げ、天まで巻き起こる水柱によって相手は吹っ飛ぶ。

 

この技を食らった星矢は、海底神殿から天空とも言える海を突き抜け海上まで吹っ飛ばされた。

 

もし地上でこれを食らったら大気圏を突き抜け宇宙まで吹っ飛ばされるのだろうか。

 

ともかくすさまじい技である。



 

攻守両面に秀でた敵で、星矢も「その強さは黄金聖闘士に勝ると劣らない」と評価している。

 

新章最初の強敵として遜色なく、ルックスもそれなりに良いバイアンは上々の出だしを飾ったかに見えたが・・・。

 

その評価はあっという間に一転する。

お前の実力など黄金聖闘士の足元にも及ばない

海底神殿に舞い戻ってきた星矢が繰り出した流星拳がバイアンにヒットした。

 

これだけなら主人公の反撃のひとコマで済んだだろうが、問題はその後に星矢が言い放ったセリフである。

 

シーホース、お前に実力などやはり黄金聖闘士の足元にも及ばない」

 

この一言がすべてを決定したと言っても良い。

 

数ページ前には黄金聖闘士と同等の評価だったにもかかわらず、あっさりとそれを撤回されたのだ。

 

ここから星矢の怒涛の反撃が始まる。

 

そしてそれは同時にバイアンの魅せ場が終わり告げた事を意味するのだ。


 

黄金の血によって蘇った星矢の聖衣が金色の輝きを放ち、この先は主人公のターンである事を静かに宣告する。

 

かつて白銀聖闘士のミスティとの戦いの経験が、同様の防御壁を敷くバイアンのディフェンスを切り崩してゆく。

 

序盤は全くヒットしなかった流星拳がここにきて立て続けに命中し、ついにはバイアンの鱗衣を破損させたのだ。


 

まさかの形勢逆転に動揺を隠せないバイアンは、「もはや手加減せぬ」と敗北秒読み寸前のキャラが吐くセリフを口にし、ゴッドブレスを放つ。

 

しかし序盤猛威を振るったこの技も、「聖闘士に同じ技は通じない」理論によって星矢に持ちこたえられてしまう。

 

もはやバイアンに残された道は最大奥義ライジングビロウズを放つことだけであった。

 

しかし再び黄金の輝きを発したペガサスの聖衣に見開き2ページを奪われ、最大奥義を放つ前に星矢の彗星拳を食らい勝負は決した。


 

粉々に砕け散る鱗衣の破片、吹っ飛び地に叩きつけられるバイアン。

 

週刊連載わずか2週分の決着であった。

 

新章の強敵という描写よりも、黄金の血で蘇った青銅聖衣のパワーと主人公補正がはるかに上を行った結果に終わったのだ。



 

作中全体を通してみればバイアンも十分に強敵の部類に属するのだが、その強さの暴落も作中屈指の早さであったため不遇なキャラと言えるかもしれない。

 

あろうことかあまり星矢に詳しくない読者からは、白銀のミスティと同レベルという事実無根の評価を下されることもある。

 

もちろんバイアンはミスティがどう逆立ちしても勝てる相手ではなく、その実力差は巨大怪獣と蟻ほどの差があるにも関わらず、である。

 

本来はそれなりに強いのにそう思われない可哀そうなキャラとなってしまった。

 

ちなみに原作は最後までマスクが外れなかったので、七将軍の中ではカーサと共にヘアスタイルが不明のキャラである。

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