
鳳凰星座の一輝
フェニックスの青銅聖闘士。
城戸光政の100人の子の1人で弟は同じく青銅聖闘士の瞬。
青銅聖闘士最強の異名を持ち、その実力は白銀をも大きく超え黄金聖闘士とも互角に戦えるほどである。
青銅聖闘士最強にして不死身の男
必殺技は鳳凰の羽ばたきですべてを吹き飛ばす鳳翼天翔と、相手の精神を砕く鳳凰幻魔拳の2種類で、物理と精神両方に対する攻撃手段を有している。
ちなみに鳳翼天翔はアニメの影響ゆえか炎で攻撃する技と捉えられがちだが、厳密には風圧攻撃にカテゴライズされる。
鳳凰幻魔拳は前聖戦の時代の水鏡が「伝説の魔拳」と呼んでいることから、聖闘士の間で知名度は高いのかもしれない。
一輝の纏う鳳凰星座の聖衣は88の星座の中でも唯一自己修復能力を持ち、自身もまた何度倒されても立ち上がり、そのたびに強さを増すという不死鳥さながらのキャラである。
主役青銅5人の中でもこの一輝だけが飛び抜けた戦闘能力を持つため、漫画的都合の面からか出番はさほど多くない。
本人も「群れるのが嫌いだ」と口にしている通り、普段は星矢たちと足並みを揃えて行動することは少ないが、味方が窮地(主に弟の瞬)の際には攻撃的な小宇宙を満開にして不死鳥のオーラを背にまとい威風堂々と登場する。
事実、連載時は一輝登場のシーンで次回に続くシーンも多かった。
かつては暗黒聖闘士を率いた敵として登場したが、その後には神出鬼没の頼もしい味方として登場するパターンが多い。
「敵キャラ時には強かったが味方になると弱体化」という法則はこの一輝には当てはまらず、味方となっても圧倒的な強さを見せつける。
作中でもケタ外れの強さを見せる一輝
その一輝の強さを遡って見れば、幼少期の時点で滅法な強さであることが分かる。
一輝は古武道を学んでいたらしく、大木を相手に拳法の修行をしていたようだ。
小学校中学年くらいの年齢で辰巳をボコボコにしているのだが、冷静に考えるとこれは結構すごいことだ。
当時の辰巳はすでに大人であり剣道三段の腕前である。
武道の心得がある大人を10歳にも満たない子供が素手で一方的に殴り倒しているのだ。
さらに聖闘士なりたての頃にはすでに規格外の強さを身に着けている。
星矢たちがそれなりに手こずった暗黒四天王を、聖衣を纏わぬ生身でたった一人で立て続けに撃破しているのだから凄まじい。
さらには白銀聖闘士のジャミアンやカペラ、ダンテを余裕で圧倒している。
と言うより、たった一人で暗黒聖闘士を統べた一輝の実力を白銀聖闘士の方が驚愕している描写すらある。
自身が精神攻撃を得意としているためか、はたまた一度は憎悪に染まった身だからか、心の弱みを突かれて動揺することも少ない。
氷河に幻魔拳をはね返された時や海将軍のリュムナデス戦がそれを物語っている。
冥界編では一輝をもしのぐスピードの三巨頭アイアコスを、「お前を倒すにはお前のスピードの上をいけばいい」というもはや理論とも呼べぬ謎理論を展開し勝利するという、色々と反則級の男だ。
さらには、相手が全く本気でなかったとはいえ神であるタナトスのマスクを吹っ飛ばしている。
星矢渾身の彗星拳がタナトスの手にうっすらと血を滲ませた程度であったのに対し、一輝の攻撃は神の冥衣を破壊しているのだからとてつもない話だ。
さらに倒しても倒しても立ち上がってくるタフネスぶりはゾンビと大して変わらないとさえ思えてくる。
戦っている相手にすれば面倒くさい事この上ないだろう。
むしろ一輝を殺せる方法があるのかさえも怪しい。
コイツは下手をしたら首を刎ね飛ばしても生き返るんじゃないだろうか。
神出鬼没の男
さらに一輝は時間と空間を無視したとしか思えない神出鬼没ぶりを見せる。
処女宮に現れた時にシャカが「どうやってこの処女宮に?」と驚いていたが、その理由は一輝はおろか作者すらも分からないだろう(笑)
シャカ戦後には処女宮から教皇の間まで律義に走って登っているので、処女宮戦の時も案外白羊宮から真面目に走ってきたのかもしれない。
少なくとも天蠍宮を通る際には蠍座のミロと顔を合わせているだろうが、なんら接点のない両者がどういう言葉を交わしたのか非常に気になるところである。
海底神殿にも何食わぬ顔で登場。
星矢たちはテティスの匂いを辿った貴鬼が先導役を務めたので到着できたのだが、一輝がいかなる手段を用いたのかは深く考えてはいけないのだろう。
冥界でもいきなり第5獄に出現したが、アケローン河をどう渡ったのか全く謎である。
実は強キャラ相手の敗北も多い
色々な意味で向かうところ敵無しとも思える一輝だが、意外と敗北も多いのだ。
交戦相手がやたら強敵ばかりというせいもあるが、シャカ戦ではほぼ完全KO負けである。
最期の自爆以外、シャカに何一つ有効打を決めていないのだ。
しいて言えばフェニックスの羽でシャカの指を傷つけたくらいである。
サガ戦でも肉弾戦では完全に負けていた。
相手が聖域編のラスボスなので仕方がないが、精神勝負だけでも互角に持ち込めたのは一輝だからこそかもしれない。
カノン戦でも「お前はサガより劣る」と言い放つも、結局はカノンは本気を出していないだけであった。
事実、本気になったカノンには手も足も出ず、「その強さはサガに生き写し」と前言を翻すほどである。
NDでも水鏡には本気で挑んだにもかかわらず敗れ、双児宮で相対したカインのギャラクシアンエクスプロージョンには「二度目の法則」がありながらも実質KOに追い込まれた。
たしかに戦績だけを見れば一輝は負けも多い。
だがこれらの強敵と渡り合えるのは一輝だからこそとも言える。
意外と礼儀正しい一面も
強キャラゆえか交戦的かつ挑発的なセリフも多いが、実のところ一輝は礼儀正しい一面も時折見せる。
古武道を学んでいたからだろうか、師のギルティーに対しては敬語で接し一礼する場面もあり、過去の時代の先代黄金にも一応の儀礼は見せている。
カイザーには「あなた」と丁寧に呼びかけているが、デストールには「あんた」呼びである。
ただこれでも敵味方問わず「お前」呼びの多い一輝にしては珍しい方と言えよう。
一輝が憎悪に染まるキッカケとなったのは城戸光政の事実を知ったからであるが、沙織に対しては「お嬢さん」と呼び敬語で応対している。
そもそも一輝がいつ沙織がアテナの化身であることを知ったのかは謎であり、アテナの聖闘士としての使命が芽生えた時期も作中では明確にされていない。
だが教皇の間に駆け付けたシーンでは「アテナの命だけはとらせん」と口にしているので、12宮編ではすでにアテナの聖闘士としての自覚は持っていたのだろう。
獅子座を継ぐ者
そんな一輝は過去の時代でカイザーから未来の獅子座の継承者であると認められた。
タナトス戦ではそれまでに何ら絡みのない獅子座の黄金聖衣を装着していたが、単に黄道12星座の中で一輝のイメージに近いのが獅子座だからという理由だろう。
一輝の誕生日もポセイドン編連載中あたりにはすでに判明していたが、これも同じ理由によるものと思われる。
そうなれば、現代の黄金聖闘士がすべて息絶えた今、もし聖域に侵攻する敵が現れたとしたら主役青銅5人の中で一番真っ先に敵と戦う事になるのは獅子宮の一輝という事になる。
敵にすればよりによって5人の中で一番強い相手と戦わねばならないので不運と言うほかない。
倒しても際限なく蘇ってくるのだから事実上突破不可能である。
もっとも当の一輝が真面目に聖域に常駐するか怪しい面もあるが、次の処女宮を守ることになるであろう瞬にとっては嬉しい配置と言えよう。
一輝も何だかんだで仲間思い、そして言わずもがな弟思いである。
案外真面目に獅子宮詰めの役割をこなすかもしれない。
最強にして不死身という頼もしすぎるキャラの一輝。
その名の由来は「一番輝く男」であるからと作者は述べたが、まさにその通りであろう。
一輝は「聖闘士星矢」という作品の中で誰にも真似できない輝きを放っているのだ。